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下期の目標を動かす役割と配置の整え方

組織公開 書いた人:山本 陽亮

下期の目標を動かす役割と配置の整え方

【問題】下期の目標が現場の仕事に落ちてこない

下期のスタートに合わせて会社や部門の目標を示したものの、現場の反応が薄いことがあります。「方針は伝えたのに、なぜ社員が動き出さないのだろう…?」と思われたことはありませんか?

目標設定の面談を始めると、社員から具体的な目標が出てこない、前期と似た内容が並ぶ、上司が表現を整えて提出するといったことが起きます。「目標を自分で考える意識が足りない」と感じる経営者や人事担当者も多いのではないでしょうか?

しかし、社員の意欲だけを問題にしても状況は変わりません。会社が下期に進めたいことと、社員が現場で担っている役割の間に距離があると、本人は「この目標は自分の仕事とどう関係するのだろう」と迷います。

よくあるのは、売上拡大、業務改善、新規顧客の開拓、組織力の強化といった方針が示されても、誰がどの仕事を変えるのかまで決まっていない状態です。会社の目標はあっても、実行する役割が配置に反映されていないのです。

【原因】目標の問題に見えて配置のズレが残っている

目標が現場につながらないとき、目標の書き方や面談の進め方から直そうとしがちです。しかし、その前に確認すべきなのは、下期に必要な仕事と現在の人材配置が合っているかです。

なぜなら、社員は与えられた担当業務、権限、周囲との関係の中でしか目標を実行できないからです。新しい顧客を増やす目標を置いても、既存顧客への対応で手いっぱいなら、目標は日常業務の外側に置かれたままになります。

同じように、業務改善を求めながら、改善案を出す人も判断する人も決めていないことがあります。社員の目標欄に「効率化に取り組む」と書かせても、役割と権限が曖昧なら、実行は本人の善意に委ねられます。

ここで起きているのが「配置のズレ」です。配置とは、所属部署を決めることだけではなく、事業に必要な仕事へ、誰の強み、経験、時間、権限を組み合わせるかを決めることです。

また、過去の実績を基準に同じ仕事を任せ続けると、今後伸ばしたい事業に人が移りません。得意な人に仕事が集中する一方で、次に役割を担う人が育たず、会社の方針だけが先に進む状態になります。

目標設定が形骸化している会社では、評価制度だけに原因があるとは限りません。事業計画、必要な役割、人材配置、個人目標が別々に決められ、「事業と人材の接続」ができていないことが多いのが実態です。

【対策①】下期に必要な役割を仕事の単位で整理する

最初に行うべきは、社員ごとの目標を考えることではありません。下期の事業方針を実行するために、どのような仕事を増やすのか、減らすのか、変えるのかを整理します。

「営業を強化する」「管理体制を整える」といった表現では、必要な人材を判断できません。どの顧客へ働きかけるのか、誰が提案をつくるのか、誰が判断するのか、どこまで現場へ任せるのかまで具体化します。

このとき重要なのが「役割の解像度」です。役職名や部署名ではなく、期待する成果、日常的に担う仕事、必要な判断、連携する相手を言葉にすると、現在の配置で足りない部分が見えます。

次に、その役割を現在誰が担っているかを並べます。正式な担当者だけでなく、実際には相談を受けている人、判断を補っている人、属人的に仕事を支えている人も確認する必要があります。

役割を並べると、仕事が特定の社員へ集中している、責任者はいるのに実務を進める人がいない、同じ役割を複数の部署が持っているといった重なりや空白が見えてきます。ここまで整理して初めて、異動、兼務、採用、育成のどれが必要かを判断できます。

【対策②】配置を決めてから個人目標へつなげる

役割を整理した後は、現在の社員が持つ経験、強み、本人の希望、今後伸ばしたい力と照らし合わせます。これは人を優劣で並べる作業ではなく、事業に必要な役割と人材の組み合わせを捉える作業です。

配置を考える際は、今すぐ任せられる人だけで埋めないことが大切です。現在の主担当、次に担える人、育成しながら任せる人を分けておくと、目の前の成果と将来の人材不足を同時に扱えます。

ただし、経営側だけで配置を決めると、本人の認識とのズレが残ります。そこで必要なのが「対話による確認」です。得意なことだけでなく、本人が増やしたい仕事、負担になっている仕事、支援があれば担える仕事を確認します。

なぜなら、経歴や過去の評価だけでは、現在の意欲や成長可能性までは分からないからです。配置の意図と期待する役割を伝えたうえで本人の認識を聞くことで、任せ方や育成方法を調整できます。

そのうえで個人目標を設定します。会社目標を小さく分けて押し付けるのではなく、本人が担う役割について、何を変えるのか、誰と連携するのか、どの状態を目指すのかを合意します。

目標面談で社員が「自分に期待されていることが分かった」と感じられるのは、数値や文言が整ったときではありません。会社の方針、自分の役割、日々の仕事が一続きになったときなのです。

【まとめ】目標設定を人材配置の見直しにつなげる

下期の目標が現場へ落ちないとき、社員の主体性や管理職の面談力だけを問題にするべきではありません。まず、事業に必要な役割が整理され、その役割へ適切に人が配置されているかを確認する必要があります。

順番は、事業方針から必要な仕事を出し、役割を具体化し、現在の人材との重なりや空白を確認し、配置を決めてから個人目標へつなぐ流れです。この順番を飛ばすと、立派な目標をつくっても実行する人と環境が整いません。

人材の現状を一覧で捉えると、採用すべき役割、社内で育てる役割、配置転換で補える役割も区別できます。採用、育成、評価を別々に考えず、事業に必要な人材の組み合わせとして扱うことが重要です。

下期の目標設定は、社員へ課題を渡すだけの機会ではありません。会社がどの仕事を重視し、誰に何を期待し、どのように支えるかを見直す機会です。その整理は既存の社員が力を発揮しやすい配置と、役割を越えて支え合える組織の文化につながります。

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