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内定式のあとに大きくなる内定者の不安への対応方法

採用公開 書いた人:山本 陽亮

内定式のあとに大きくなる内定者の不安への対応方法

【問題】内定式が終わってから不安が見え始める

10月1日の内定式を終え、経営者や人事担当者の方は、ひとまずホッとされているのではないでしょうか?一方で、「ここから入社まで、辞退防止のために何をすればよいのか…」といった不安もあるのではないでしょうか?

内定者と連絡を取ろうとしても、何を聞けばよいか分からず、懇親会や研修の案内だけになりがちです。「連絡しすぎても負担になるのではないか…?」と迷う方も多いのではないでしょうか?

内定式は、会社側にとっては採用活動の一区切りです。しかし、内定者にとっては、入社する会社が現実のものになり、働くことへの不安が具体的になり始める時期です。

同期の雰囲気、配属先、仕事内容、上司との相性、仕事についていけるかなど、選考中には意識していなかった疑問が出てきます。周囲の友人が別の会社の情報を話すことで、「本当にこの会社で大丈夫かな」という迷いが生まれることもあります。

ここで会社からの連絡が事務案内だけになると、内定者は分からない部分を自分で想像して補います。なぜなら、質問する相手や機会がなければ、インターネット上の情報や周囲の話を使って判断するしかないからです。

【原因】フォロー不足より期待のズレが問題になる

内定者フォローというと、連絡回数を増やす、交流の場を設ける、研修を用意するといった施策が先に浮かびます。ただし、接点を増やすだけでは、入社への不安は十分に減りません。

重要なのは、入社前に抱いている期待と、実際の仕事や職場とのズレを小さくすることです。私たちがいたリクルートでは、これを「期待値調整」と呼んでいました。

よくあるのは、会社側が内定者を安心させようとして、前向きな情報ばかりを伝えることです。「若いうちから活躍できる」「周囲が丁寧に支える」と伝えていても、どのような仕事から始まり、誰がどこまで支えるのかが分からなければ、内定者の期待だけが膨らみます。

入社後に仕事内容や育成方法の現実を知ると、「聞いていた話と違う」というズレが生まれます。なぜなら、人は説明されていない部分を、自分にとって都合のよいイメージで補いやすいからです。

早期離職が減らない会社では、入社後の受け入れだけでなく、配属前の「期待調整」が不足していることがあります。入社後に説明すればよいと考えず、入社前から仕事の現実を具体的に伝えるべきです。

ただし、不安をなくそうとして、情報を一度に渡しすぎるのも逆効果です。大切なのは「内定者目線」で、その時点で気になりやすいことを捉え、適切な「タイミング」で答えることです。

【対策】入社までのフォローを順番に整える

1.最初に行うべきは、内定者が何に期待し、何を不安に感じているかを把握することです。「不安なことはありますか」と広く尋ねるだけでなく、配属、仕事内容、人間関係、育成、生活の変化など、考えやすい項目を示して確認します。

内定者は、採用担当者から評価された感覚をまだ持っています。そのため、質問することで意欲が低いと思われないか、今さら迷っていると受け取られないかを気にして、本音を出せないことがあります。

2.次に、出てきた疑問を一度きりの回答で終わらせず、「対話の記録」として残します。誰が何を気にしていたか、どの説明を受けたかを整理すると、担当者が変わっても一貫したフォローができます。

質問や反応を継続的に整理する仕組みがあれば、連絡のたびに担当者が内容を考え直す必要もありません。個別の不安に応じた問いかけや情報提供を補助する仕組みを使うことで、対応の抜けや担当者によるばらつきも減らせます。

3.その次に、仕事のよい面だけでなく、最初につまずきやすい点も伝えます。覚えることが多い時期、周囲に質問する必要がある場面、希望どおりの配属にならない可能性など、起こり得ることを隠さず説明します。

これは内定者を不安にさせるためではありません。現実と支援方法をセットで伝えることで、「難しいことはあるが、困ったときの動き方は分かる」という安心をつくるためです。

4.最後に、入社までの予定を点ではなく流れで示します。次にいつ連絡があり、何を確認し、誰と話せるのかが分かれば、内定者は先の見えない待ち時間を過ごさずに済みます。

内定者フォローの目的は、会社への好感を保つことだけではありません。入社後の生活や仕事を具体的に想像でき、「入社後の自分を想像できそう」と感じられる状態をつくることです。

【本質的な問題解決】内定者の不安は会社の課題を映している

内定者から出てくる質問は、個人の心配事に見えます。しかし、回答に迷う質問ほど、実は社内で認識がそろっていない可能性があります。

配属の決め方を説明できない、育成担当者が明確でない、入社後に求める行動が部署によって異なるといった状態は、フォロー担当者だけでは解決できません。採用、人事、現場の責任者が、伝える内容と実際の受け入れ方をそろえる必要があります。

また、同じ質問が繰り返し出るなら、内定者の理解不足として片づけるべきではありません。会社から渡している情報の内容や伝える順番に、改善すべき点があるということです。

内定式後のフォローは、イベントを増やすことでも、定期的に雑談することでもありません。内定者の小さな不安を拾い、必要な事実を適切な順番で伝え、入社後の現実とのズレを減らす取り組みです。

そして、内定者が抱く不安への答えは、採用担当者が一人でつくるものではありません。既存の社員がどのように仕事を覚え、困ったときに誰へ相談し、どのように成長しているかを言葉にすることが、内定者の安心と社内の受け入れ文化の両方を整えることにつながるのです。

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